SONY WH-1000XM4 レビュー|信じられないほどのANCパフォーマンス

SONY WH-1000XM4、この前身であるソニーWH-1000XM3ヘッドフォンは、2018年にリリースされた時Bose製品からノイズキャンセリングの王冠を奪取しました。

それ以来、多くのユーザーは後継者を待ち望んでいました。今SONYはaptXを犠牲にしてマルチポイント接続を追加した、改良されたヘッドセットをリリースしました。しかし、ノイズキャンセリングヘッドホンの混沌とした状況で競争するのに十分なのかレビューしていきます。

誰向けの製品か?WH-1000XM4を買うべき人

WH-1000XM4はどういった人が手に入れるべきでしょうか?

  • ほぼ全ての人。これを所有し音楽とノイズキャンセリングを楽しんでいない人一度試してみるべきです。ヘッドフォンを手に入れるための資金を持っているなら購入してください。
  • 最高のアクティブノイズキャンセリングをお望みの方。WH-1000XM3は既にアクティブノイズキャンセリングヘッドフォン(ANC)において偉大な製品でした。WH-1000XM4はさらに良い製品です。
  • 通勤者や飛行機で飛び回る人。バッテリーの寿命、ノイズキャンセリング、音質、いずれも高い評価であり、他を選択する必要が無いほどです。


ソニー ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン WH-1000XM4 : LDAC/Amazon Alexa搭載/Bluetooth

WH-1000XM4の使用感

WH-1000XM4は外観が前モデルとほぼ同じですが、内部に隠された新機能があります。

Bluetoothマルチポイントを使用すると、2つのデバイスに同時に接続できるため、日常の使用で少しだけ便利になります。Bluetooth設定を開かなくても、デスクでの作業中に音楽を聴くことから、スマートフォンでYouTubeを視聴し、そこから戻ることを簡単に行うことができます。

これはWH-1000XM3の不満の1つであり、WH-1000XM4に搭載することで、多くの人が喜ぶことは間違いありませんが、注意点が1つあります。マルチポイントを使用する場合は、接続されている両方のデバイスでAAC Bluetoothコーデックを使用する必要があります。

一度に2つのデバイスに接続したままにする機能の他に、チャット機能など、Sony HeadphonesConnectアプリをダウンロードした場合にのみアクセスできる新機能もあります。

オンにするとヘッドホンがあなたが話していることを検出するたびに音楽が一時停止します。これは間違いなく機能しますが、この機能は検出の感度を考慮すると、有用と煩わしい状態の境界線にあると言えます。

人によりますが、私はこれが便利な機能というよりも厄介な機能だと感じました。

例えば、ポッドキャストを聴いているときに、冗談を言って笑った場合など独り言がメディアを一時停止しました。この状況を経験するまで、自分がどれだけ変な音を出しているか意識することはないでしょう。一部の人には便利かもしれませんが、多くの人はおそらくオフにしたまま利用し続けるのではないでしょうか。

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同様な機能に、ヘッドホンを外すと再生を停止する自動一時停止機能があります。

左のイヤーカップの内側にヘッドホンを装着しているかどうかを検出し、ヘッドホンを外した時に一時停止する小さなセンサーがあります。

「これは必須の機能か?」と言われるむ難しいですが、絶対に必要と言うわけではありません。約4万円近くするヘッドホンに求められる繊細な機能と仮定し、ソニーはこの点を重視しました。

イヤーカップも従来のものよりわずかに厚くなっており、ノイズキャンセリング機能をオフにしても、より良い分離感が得られます。一方、ヘッドバンドは薄くなり、パッドも少なくなっています。

その違いはつけ比べると確かに実感出来ます。間違いなく快適ですが、頭頂部には常に圧迫感があり、長時間のリスニングではそれが顕著になりました。

ヘッドホンの操作性に大きな変化はありません。両方のイヤーカップにはタッチセンサーが搭載されており、タップとスワイプを繰り返して再生をコントロールします。

残念ながら、ダブルタップでの一時停止機能は、実際には一部の時間しか機能しません。スワイプによる音量調整や曲間のスキップはスムーズに行えますが、なぜかタップの認識には苦労します。

ヘッドホンを外して自動で一時停止させた方が簡単で早い場合もあります。私の場合、一時停止機能が働いたのは約25%でした。

左のイヤーカップに手をかざすと、すぐにアンビエントモードが起動します。これはお気に入りの機能で、音楽の音量を大幅に下げ、ヘッドホンに内蔵されたマイクを使って周囲の状況を再生するものです。ほとんどの時間を家で過ごしている人にとっては大したことではありませんが、通勤中電車の車掌からのアナウンスをすぐに聞きたいときにとても便利です。

ノイズキャンセリングについて

WH-1000XM4でノイズキャンセリング機能の向上を期待していた人には、とても良いと思います。どういうわけか、ソニーの開発チームはアクティブノイズキャンセリング(ANC)を以前よりもさらに良くしてくれました。

下の図は、人間の聴覚の限界である20Hz〜20kHZの可聴域内で、どれだけのノイズがキャンセルされるかを大まかに表したものです。

グラフのピークが高いほど、より多くのノイズが除去されていることを示しています。WH-1000XM3もノイズキャンセリング機能には優れていますが、WH-1000XM4はエアコンの低い音やジェットエンジンの絶え間ない音などの低周波音の減衰能力が更に優れています。

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参考:SoundGuys

接続強度

WH-1000XM4はBluetooth 5.0、Bluetoothマルチポイントに対応し、SBC、AAC、当然ソニー独自のLDACをサポートしているので、多少接続が安定しなくても最高のストリーミング品質が得られます。これらのコーデックに対応していない機器を使用している場合は、すべてのBluetoothオーディオ機器で共有される最も基本的なコーデックであるSBCがデフォルトとなります。

また、Bluetoothを搭載していない機器でも、付属の3.5mmオーディオケーブルで接続することができます。

マルチポイント機能は、LDACやSBCではなく、AACを使用している場合にのみ利用できます。目的によって使う価値があるかもしれませんが、少なくともデバイスを分けて使っていることが多い私にはあまり向いていません。

大型施設の喫茶店でテストしてみましたが、テストでは音域に問題はありませんでした。ヘッドホンをノートパソコンに接続している間、喫茶店全体を歩き回っても音飛びはありませんでした。またスマートフォンでも同様で、どのポケットに入れていても接続されたままでした。

バッテリー寿命

バッテリー駆動時間については、従来のWH-1000XM3と同様、約30時間の連続再生が可能であると記載していますが、残念ながらこれほどはもちません。

私の検証では、アクティブノイズキャンセリング機能をオンにして75dBの一定出力で音楽を再生したところ、約19時間59分ほど持つことがわかりました。

これは素晴らしい結果であり、多くの人にとって十分すぎます。前衛機は約24時間だったのに対して長持ちしないのは不思議ですが、おそらくテスト時のソフトウェアのバージョンによる可能性があります。

ソニーのWH-1000XM4はUSB Type-Cで充電しますが、急速充電機能を使えば、わずか10分の充電で5時間の再生が可能になります。

音質について

WH-1000XM4の音質は、前モデルに比べて改善されている点があります。WH-1000XM3の音が悪かったわけではありませんが、旧モデルの方が低音域に改善する余裕があるのは確かです。

低域の周波数特性がフラットになったことで、他のヘッドホンのように低域が大きく強調されないサウンドになっています。すべての人に向いているわけではありませんが、ほとんどの人は問題を感じることはないでしょう。もっと低音を強調したい場合は、アプリのEQプリセットを変更して下さい。

ヒラリー・ハーンによるバッハのヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調のように、低音がちょうどよい音量でヒットするような繊細な演奏には、この低音が最適です。また、Madeonの「Pixel Empire」の冒頭の音も素晴らしく、イントロの間中、音のバリエーションを聞くことができます。こだわりは、中音域にも受け継がれています。

Darwin DeezのConstellationsでは、何が起こっているかに関わらず、曲全体を通して歌詞がはっきりと聞こえてきます。曲中のシンバル、シェイカー、クラップも、わずかに音量を上げることで効果を発揮します。

回りくどい表現をしましたが端的に言っていい音です

より音に拘りたい場合は、SONY Headphones Connectアプリ内のイコライザーを使用するか、Equalizer APO、Roon、VoicemeeterなどPCベースのソリューションを使用することができます。

正直イコライザーは、あまり拘らない方がいいでしょう。また、帯域が限られているアプリでは、このような調整に必要な粒度を得ることができないかもしれません。

WH-1000XM4を入手する必要があるか

最高のBluetoothヘッドフォンを求めているのであれば、ソニーのWH-1000XM4を候補に入れるべきだと思います。

前作のWH-1000XM3は、今でもお勧めするヘッドホンのひとつですが、SONYはそれをさらに向上させました。Bluetoothマルチポイント対応で利便性が向上したほか、ノイズキャンセリング機能や音質も微妙に改善されており、これは買いだと思います。

すでにソニーのWH-1000XM3をお持ちの方は、どうしてもマルチポイント接続が必要な場合を除き、アップグレードする必要性はあまりありません。

しかし、初めての大型ノイズキャンセリングヘッドフォンを購入するなら、ほとんどの人がこの製品を気に入るでしょう。

鞄の中にあまり余裕がない方は、Apple AirPods Proや前作のWF-1000XM3と比較しても遜色のない完全独立型ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン、WF-1000XM4に注目してみてはいかがでしょうか。

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