Apple Watch Ultraは、登山やダイビングといった冒険用途を前提に設計されたモデルですが、実際にはランニング用途で選ばれているApple Watchでもあります。
理由はシンプルで、「ランニングウォッチとして必要な条件」を、Apple Watchの中で最も高いレベルで満たしているからです。
特に本格的に走る人ほど評価しているのが、以下の3点です。
- ワークアウト中でも視認性の高い大型ディスプレイ
- 都市部でも精度が安定しやすいデュアルバンドGPS
- グローブ着用時でも操作しやすい物理ボタン構成
Ultraでは、ランニング中に最大6項目のデータフィールドを同時表示できます。
これは通常モデルよりも情報量が多く、ペース・心拍・距離・経過時間などを視線移動なしで把握できる点が、レースやインターバル走で特に役立ちます。
また、左側に配置されたアクションボタンには任意の操作を割り当てることができ、「ワークアウト開始」「ラップ(区間)計測」などをタッチ操作なしで実行できます。
ただし、Ultraを「ランニングウォッチとして別格」にしている理由は、これだけではありません。
Precision Start(プレシジョンスタート)が変えるランニング体験
Apple Watch Ultraには、Precision Start(プレシジョンスタート)という、本格ランナー向けのワークアウト開始機能があります。
Precision Startを有効にすると、従来の「3・2・1…」というカウントダウンを行わず、GPS信号をしっかり捕捉した状態で、任意のタイミングで計測を開始できます。
どんな人に向いている機能か
- レースのスタートラインで、号砲と同時に計測したい人
- インターバル走やビルドアップ走で、正確な区間管理をしたい人
- 都市部や高架下など、GPSの掴みが不安定になりやすい環境で走る人
カジュアルランでは気にならなくても、レースやトレーニング強度が上がるほど「最初の数秒のズレ」は無視できなくなります。
Precision Startは、「GPSがロックされたのを確認してから、走りたい瞬間にスタートできる」という思想そのものが、一般的なフィットネストラッカーとは一線を画しています。
設定方法(2025年時点)
Precision Startは、iPhone側のWatchアプリから設定します。
Watchアプリ > ワークアウト > Precision Start > オン
有効化すると、屋外ランニングなどGPSを使用するワークアウトで、GPS捕捉完了後にスタンバイ画面が表示され、自分のタイミングでスタートできます。
Garminなどのランニングウォッチとの違い
Garminなどのランニングウォッチでは、「GPSロック待ち → 手動スタート」は以前から一般的な考え方です。
Apple Watch Ultraは、この思想をApple流に落とし込み、
- 操作はシンプル
- 日常使いとの両立
- 必要な人だけが使える上級機能
というバランスを取っています。
実際に使ってみると、「普段は気にしないが、重要な場面では確実に役立つ」そんな位置づけの機能だと感じる人が多いはずです。
まとめ|Ultraは「走れるスマートウォッチ」ではなく「ランニングにも本気なWatch」
Apple Watch Ultraは、単なるスマートウォッチの延長ではなく、レースや高強度トレーニングでも使える設計思想を持っています。
特にPrecision Startは、
- 正確な計測を重視するランナー
- レースや練習の質を高めたい人
にとって、Apple Watchを選ぶ理由になり得る機能です。
「Apple Watchで本当に走れるのか?」と迷っているなら、Ultraはその問いに対する、最も説得力のある答えのひとつだと言えるでしょう。