Technics EAH-AZ100 3分間レビュー|力強く説得力のあるサウンド

CES2025のプレスカンファレンスで発表されたTechnics EAH-AZ100は、最新かつ野心的な試みとして、高性能イヤホン市場およびノイズキャンセリングイヤホン市場で注目を集めています。

新モデルAZ100は、仕様面での徹底ぶりが際立っています。

マルチポイント接続や適応型ノイズキャンセリング、Bluetooth 5.3(LDAC対応)など多彩な機能を搭載し、デザインも改良されています。

小型化と軽量化を実現しつつ、高級感ある仕上がりを維持しています。また、操作性も優れ、快適性を追求した5種類のイヤーチップが付属します。

競争の激しいハイエンド市場で戦うには、機能の徹底が求められます。競合製品として挙げられるのは、Bose QuietComfort Ultra Earbuds、Bowers & Wilkins Pi6、Sony WF-1000XM5など。これらに挑むには、更に音質での差別化が重要です。

EAH-AZ100の音質は、ノイズキャンセリング(ANC)をオンにした状態で優れています。

ANCを有効にすると、力強く繊細で音楽性豊かなサウンドを楽しめ、最高クラスのANCイヤホンと肩を並べます。一方、ANCをオフにすると低音が薄まり、やや軽い印象を与える点が課題です。

発売日と価格

  • 発売日:2025年1月7日
  • 価格:$299 / £259 / AU$478 / 39600円

EAH-AZ100は、2023年発売の高評価モデルEAH-AZ80の後継機で、3万から4万円の価格帯になります。

競合製品にはBoseやSONY、Sennheiserなど強力な商品が並びます。

主な仕様

  • 種類:完全ワイヤレスイヤホン
  • 重量:イヤホン5.9g、ケース42g
  • ドライバー:10mmダイナミック
  • バッテリー:ANCオフ12時間、ANCオン7時間、ケース17時間
  • 操作:タッチ操作、音声アシスタント、専用アプリ
  • Bluetooth:5.3(SBC、AAC、LDAC、LC3対応)

特徴と機能

EAH-AZ100は、Bluetooth 5.3に対応し、SBC、AAC、LDAC、LC3といった幅広いコーデックをサポートしています。

10mmダイナミックドライバーにはアルミ製ダイアフラムと磁性流体技術が採用され、低音域の精密な再生と低歪みを実現。周波数特性は20Hz~40kHzです。

バッテリー持続時間も優秀で、ANCオフ時は12時間、ANCオン時でも約7時間の再生が可能。充電ケースは約1.5回分の追加充電が可能で、USB-Cを使用すれば2時間でフル充電できます。ワイヤレス充電用のQi認定充電パッドにも対応しています。

ノイズキャンセリングは、新開発の「適応型」技術を採用し、耳に最適化された効果を発揮します。

各イヤホンには3つのマイクが搭載され、「Voice Focus AI」により高品質な通話が可能です。AIノイズリダクションチップが周囲の音を分析し、不要な音を除去します。

さらに、3台までの同時接続を可能にするマルチポイント接続や、Dolby Atmos、Dolby Audio、ヘッドトラッキングといった空間音響技術も搭載されています。

デザイン

  • サイズ:21 x 26 x 25mm(イヤホン)、36 x 69 x 27mm(充電ケース)
  • 重量:5.9g(イヤホン)、42g(充電ケース)
  • イヤーチップ:5種類

Technics EAH-AZ100は完全ワイヤレスイヤホンのフィット感にさらなる改良が施されています。

イヤホンと充電ケースは前モデルEAH-AZ80よりも小型・軽量化され、コンチャ(耳甲介)形状とフィット感も再設計されました。

5種類のイヤーチップが付属しており、長時間使用しても快適さが続く設計で、幅広い耳の形状に対応可能です。

外観は従来の高級感あるTechnicsデザインを踏襲しています。

シルバーとブラックの2色展開で、仕上がりは高品質かつ触り心地も良好。充電ケースはアルミニウム製の天板が特徴的で、ブランドロゴが刻印されています。

操作方法も充実しており、スマホの音声アシスタントに対応するほか、イヤホン表面のタッチ操作はレスポンスが優秀です。

また、新しく改良された専用アプリ「Technics Audio」を使用することで、EQ設定やノイズキャンセリングの調整など、カスタマイズが可能です。このアプリはiOSとAndroidで動作します。

音質

音質はバランスが取れており、音の細部に優れ独立感があり、ダイナミックな表現が特徴です。

特にANC(アクティブノイズキャンセリング)をオンにした状態では、音質が際立ちます。

低音域は深みがありパンチ力がある一方、中音域は明瞭で、音色や音のニュアンスを正確に伝えます。

高音域は鋭さがあるものの、硬さや刺々しさはなく、全体的に自然な音質です。

周波数帯域全体の統一感が優れており、トップエンドから低音域までスムーズに調和しています。「均整の取れた」音質は、EQ設定を「Direct」にすると明瞭に感じられます。

音楽ジャンルを問わず、テンポの速い楽曲でもダイナミックな表現力を発揮します。

例えば、Claro Intelectoの「Peace of Mind」のような曲でも、微細なダイナミクスまでしっかりと再現します。音場も整理され、乱れることがありません。

ANC機能もプレミアムブランドとして十分な性能を持ち、多くの環境ノイズを遮断します。ただし、Boseのような「完全な静寂」とまではいかず、近接した大音量のノイズや高周波音には限界が見られます。

ANCをオフにすると音質が変化し、低音が薄れ全体的に軽い印象になります。この特徴から、主にノイズキャンセリングを使用するユーザー向けの製品といえます。

価値

EAH-AZ100は、洗練されたデザインと充実した機能を備えた高級イヤホンです。

装着感や触り心地、全体的な完成度の高さは非常に評価できます。

仕様面でも優れており、3台同時接続を可能にするマルチポイント機能やDolby Atmos、ヘッドトラッキングなど、最新技術が惜しみなく採用されています。

ただし、aptX非対応である点は惜しいところです。

購入を検討すべき人

  • 長時間の快適な装着感を重視する人
  • 鮮やかで情報量豊富な音質を楽しみたい人
  • 複数のデバイスをシームレスに使いこなしたい人

購入を避けるべき人

  • ノイズキャンセリング性能を最重視する人(Bose QuietComfort Ultraがより適しています)
  • 手の器用さに自信がない人(充電ケースからイヤホンを取り出すのがやや困難)

総評

Technics EAH-AZ100は、機能、デザイン、音質のバランスが取れた非常に優れたワイヤレスイヤホンです。

ANCオン時の音質や操作性、装着感は特に魅力的で、多用途に使用できる点も評価できます。

一方で、ノイズキャンセリング使用ON/OFFでの低音の変化や、aptX非対応が気になる人は他の選択肢を検討する必要があるでしょう。


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