FIIOのM21とJM21は、どちらもAndroid搭載のエントリーDAPとして注目されていますが、型番が似ている分、違いが分かりにくいと感じる人も多いはずです。
DAC構成や出力値を見るとM21が有利に見える一方、JM21は軽さや扱いやすさが魅力で、使い方次第では十分な性能を備えています。
ここでは、単なる数値比較では終わらせず、イヤホン・ヘッドホンの種類や利用シーンを踏まえて、どちらを選ぶと後悔しにくいかを整理します。
「自分にはこっちだ」と判断できる手助けをします。
FIIO M21とJM21はどんな違いがあるのか
FIIO M21とJM21は、どちらもAndroid 13を搭載したエントリークラスのDAPですが、目指している使い方は同一ではありません。
数値だけを見ると似ている部分も多いものの、音作りの方向性、駆動力の余裕、日常での扱いやすさに違いがあります。

仕様比較
| 項目 | FIIO M21 | FIIO JM21 |
|---|---|---|
| プロセッサー | Snapdragon 680 | Snapdragon 680 |
| メモリ(RAM) | 記載なし | 3GB |
| ストレージ(ROM) | 64GB(使用可能:約52GB) | 32GB(使用可能:約22GB) |
| ストレージ拡張 | microSD(最大2TB) | microSD(最大2TB) |
| OS | Android 13 | Android 13 |
| 動作モード | 記載なし | Android / ピュアミュージック / USB DAC / BT受信 |
| ディスプレイ | 4.7インチ(1334×750) | 4.7インチ(750×1334) |
| DACチップ | CS43198 ×4 | CS43198 ×2 |
| オペアンプ | OPA1692×2 + SGM8262-2×2 | SGM8262 ×2 |
| 対応フォーマット | 最大 768kHz/32bit、DSD512(USB) | 同左(USB Audio) |
| 出力端子 | 3.5mm SE, 4.4mm BAL, USB-C, S/PDIF | 同左 |
| 最大出力(32Ω) | SE: 405mW / BAL: 950mW | SE: 245mW / BAL: 700mW |
| S/N比 | SE: ≥124dB / BAL: ≥126dB | ≥130dB |
| ノイズフロア | SE: <2μV / BAL: <2.7μV | <1.5μV |
| 出力インピーダンス | SE: ≦1Ω / BAL: ≦1.5Ω | <1Ω(共通) |
| THD+N | SE: 0.0003% / BAL: 0.0005% | <0.0006% |
| Bluetooth バージョン | 5.0 | 5.0 |
| BTコーデック(送信) | SBC / AAC / aptX / aptX HD / LHDC / LDAC | 同左 |
| BTコーデック(受信) | SBC / AAC / LDAC | 同左 |
| Wi-Fi | 記載なし | 2.4GHz / 5GHz、DLNA、AirPlay |
| バッテリー容量 | 4000mAh | 2400mAh |
| 再生時間 | SE: 約15時間 / BAL: 約12.5時間 | SE: 最大12.5時間 / BAL: 最大9.5時間 |
| 充電時間 | 記載なし | 約2時間(5V2A) |
| サイズ(mm) | 約121×68×17 | 約120.7×68×13 |
| 重量 | 約193g | 約156g |
| 付属品 | ケース、USBケーブル、強化フィルムなど | ケース、保護シート、USBケーブルなど |
位置づけとコンセプトの違い
M21は、エントリー価格帯でありながらも、より高い出力と内部構成を採用し、据え置き的な使い方や負荷のかかるイヤホン・ヘッドホンにも対応しやすい設計です。
一方のJM21は、軽量・薄型を優先し、持ち歩きやすさと扱いやすさを重視したモデルです。
Android搭載DAPとしての利便性を保ちつつ、必要十分な音質を確保することに軸足があります。
音質と駆動力の違いをどう考えるか
スペック表で最も目を引く違いが、DAC構成と最大出力です。
ただし、数値の大小だけで優劣を決めると、実際の使用感とズレることがあります。
DAC構成とアンプ設計が影響するポイント
M21はCS43198を4基搭載し、オペアンプも複数組み合わせた構成です。
これにより、音の密度や余裕感が出やすく、音量を上げた際にも破綻しにくい傾向があります。
JM21はCS43198を2基構成とし、回路をシンプルにまとめています。
その分、音の立ち上がりが素直で、イヤホン中心の運用では違和感なく使える仕上がりです。
数値上のS/N比やノイズフロアはJM21が良好に見えますが、実際のリスニングでは環境やイヤホンの感度による影響も大きく、静かな室内での使用に限って差を感じやすい場面が出てきます。
最大出力とイヤホン・ヘッドホンの相性
32Ω時の最大出力を見ると、M21はバランス接続で約950mWと余裕があります。
以下のようなケースでは、M21のほうが安心感があります。
- 駆動力を必要とする平面駆動型イヤホン
- インピーダンスが高めのヘッドホン
- 音量を上げても余裕を保ちたい場合
JM21もエントリーDAPとしては十分な出力を備えていますが、イヤホン中心の利用を想定した設計です。
一般的なIEMやポータブル向けヘッドホンであれば、不足を感じる場面は限られます。
使い勝手と日常利用で差が出る部分
毎日持ち歩くDAPでは、音質以上に使い勝手が満足度を左右します。
サイズ・重量と持ち運びやすさ
M21は約193g、JM21は約156gと、数字以上に持ったときの印象が異なります。
ポケットに入れて使う場合や、長時間の持ち歩きではJM21の軽さが効いてきます。
一方、バッグに入れて使う、あるいは自宅中心で使う場合は、M21の重量は大きな問題になりにくいでしょう。
バッテリー容量と再生時間の考え方
M21は4000mAh、JM21は2400mAhと容量差があります。
実際の再生時間もM21のほうが長く、バランス接続でも余裕があります。
ストリーミング再生や高出力での使用が多い場合は、M21のほうが充電頻度を抑えやすくなります。
短時間の通勤・外出中心であれば、JM21でも実用上困ることは少ないでしょう。
Android搭載DAPとしての実用性
両機種ともAndroid 13を搭載しており、アプリの対応状況に大きな差はありません。
ただし、JM21は動作モードや通信周りが明確に整理されています。
動作モードと拡張性の違い
JM21は、Androidモード、ピュアミュージックモード、USB DAC、Bluetooth受信といった使い分けが可能です。
用途に応じて動作を切り替えたい人には分かりやすい構成です。
M21は詳細なモード表記こそ少ないものの、内部構成に余裕があり、USB DACや外部出力用途でも安定した運用がしやすい設計です。
Wi-Fi・Bluetooth周りの扱いやすさ
JM21は2.4GHz / 5GHz Wi-Fiに対応し、DLNAやAirPlayといったネットワーク再生を前提とした使い方がしやすくなっています。
自宅でのストリーミングやネットワーク連携を重視する場合は、JM21の分かりやすさが利点になります。
どんな人にM21が向いているか
- イヤホンだけでなくヘッドホンも使いたい
- 出力に余裕のあるDAPを選びたい
- 自宅据え置き的な使い方も想定している
- バッテリー持ちを重視したい
音質面での余裕や拡張性を求める場合、M21は価格差を納得しやすい選択肢になります。
どんな人にJM21が向いているか
- 持ち歩きやすさを最優先したい
- イヤホン中心のリスニングがメイン
- Android搭載DAPを気軽に使いたい
- 価格と性能のバランスを重視したい
エントリーDAPとしての完成度を重視するなら、JM21は扱いやすい一台です。
FIIO M21とJM21で迷ったときの最終判断
両機種で迷った場合は、「どこで・何を鳴らすか」を基準に考えると整理しやすくなります。
音質と駆動力に余裕を持たせたいならM21。
携帯性と日常の使いやすさを優先するならJM21。
どちらもAndroid搭載DAPとしての基本性能は高く、用途に合った選び方をすれば、大きな失敗になりにくいモデルです。