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Astell & Kern HC4 レビュー|スマホ直挿しで満足できない人の判断材料

2024年11月14日

Astell & KernのDAPに憧れはあるものの、価格を前に現実的な選択肢を探している人は多くいるでしょう。

「A&K HC4」は、そんな層に向けて用意されたUSB DACです。

スマートフォンやPCに直結するだけで音が変わると言われても、「本当に体感できるのか」「今のイヤホンで意味があるのか」と迷うのが正直なところです。

ここでは、HC4を使うことで何がどう変わるのかを音の傾向ごとに整理し、どんな環境・どんなリスナーに向いているのかを掘り下げています。

3.5mmのアンバランス出力と4.4mmのバランス出力を備え、UAC 1.0とUAC 2.0両対応により、ゲーム機からモバイルデバイスまで幅広い互換性を確保しているポータブルDACが、自分にとって必要かどうかが判断できるはずです。

Astell & Kern HC4とはどんなUSB DACか

Astell & Kern HC4は、同社の高価格帯DAPに惹かれつつも、スマートフォンやPC中心の環境で現実的な選択肢を探している人に向けたUSB DACです。

「ドングルDAC」というカテゴリに属しますが、単なる変換アダプターではなく、Astell & Kernが長年培ってきた音作りを、できるだけコンパクトな形で体験させることを目的としています。

スマホ直挿しのイヤホン出力に不満はあるものの、据え置きDACを置くほどでもない。

HC4は、そうした中間層の悩みを埋める位置に置かれた製品だと言えます。

外観と使い勝手から分かるHC4の特徴

本体デザインとビルドクオリティ

Astell & Kern HC4のアルミ筐体デザイン

HC4は一目でAstell & Kernと分かるシャープな造形を持っています。

小型ながらアルミ筐体はしっかりとした剛性感があり、一般的な樹脂製ドングルDACと比べると、明らかに「道具としての信頼感」が高いと感じられます。

ポケットに入れて持ち運ぶ用途を前提にしても、頼りなさは感じにくいです。

このサイズ感でここまで作り込まれている点は、音質以前に評価できるポイントと言えるでしょう。

操作系とLED表示の意味

側面には物理ボリュームとDAR(Digital Audio Remaster)の切り替えスイッチが配置されています。

アプリ操作に頼らず、目と指で状態を把握できる設計は、外出先での使い勝手に直結します。

本体の小さなLEDは再生中のフォーマットを示しており、「今どの品質で鳴っているか」を感覚的に確認できます。

細かい仕様を知らなくても、不安を感じにくい配慮です。

接続方式と対応フォーマットの実用性

3.5mmと4.4mmは誰に必要か

Astell & Kern HC4の3.5mmと4.4mm出力端子

HC4は3.5mmアンバランスと4.4mmバランスの両方を備えています。

ただし、バランス接続は「あれば必ず音が良くなる」ものではありません。

4.4mm対応ケーブルを持っており、左右分離や音場の見通しを重視したい人には意味があります。

一方で、一般的なイヤホンを3.5mmで使う場合でも、HC4の音作りそのものは十分に体感できます。

対応サンプリングレートと注意点

DSD256、最大32bit/384kHzまで対応しており、数字だけを見ると十分すぎるほどです。

一方で、MQAには対応していないため、特定の配信サービスを前提にしている場合は事前に確認しておきたいところです。

とはいえ、日常的なリスニングでフォーマット上の制限を感じる場面は多くありません。

数値よりも、実際に鳴ったときの変化に注目する方が現実的です。

音の変化はどこで分かるのか

音場と定位の広がり

HC4を接続して最初に気づきやすいのは、音場の広がりです。

単に左右が広がるだけでなく、奥行き方向に余裕が生まれ、音が頭の外側に配置される感覚が強くなります。

「音が広い」と言われても曖昧に感じやすいですが、楽器同士の距離が分かりやすくなり、混み合った印象が薄れると考えると理解しやすいでしょう。

中域の押し出しと低域の変化

中域はやや前に出て、アタック感がはっきりする傾向があります。

スネアの立ち上がりやギターの輪郭が明確になり、音楽全体に勢いが加わります。

低域は量感が増すというより、輪郭が整理される印象です。

結果として中域とのバランスが取りやすくなり、リズムが掴みやすくなります。

元の音はどうなるか

重要なのは、HC4がイヤホンやヘッドホンの個性を過剰に塗り替えない点です。

暖かい音のモデルはそのまま暖かく、クールなモデルはクールなまま、土台だけが整います。

音を作り変えるDACを求めている人には物足りない可能性もありますが、「今の音を底上げしたい」人には安心感があります。

DAR機能は使うべきか

DARをオンにしたときの印象

DARを有効にすると、高域の見通しが少し良くなり、音が軽やかに感じられることがあります。

特に情報量の少ない音源では、聴きやすさが増す場面もあります。

常用に向くケース・向かないケース

常にオンにする必要はなく、音源や好みに応じて切り替えるのが現実的です。

すでに高音質な音源や、刺激を抑えたいときは、オフの方が自然に感じる場合もあります。

HC4が向いている人・慎重に考えたい人

  • スマホやPCの音に物足りなさを感じている人
  • Astell & Kernの音作りに興味がある人
  • イヤホンやヘッドホンの個性を活かしたい人

一方で、音の傾向を劇的に変えたい人や、据え置きDAC並みの駆動力を期待している場合は、用途を見直した方が良いでしょう。

Astell & Kern HC4 がどんな価値を提供するのか

HC4は、高級DAPの代替ではありません。

しかし、スマートフォン中心の環境で「もう一段上の音」を、現実的なサイズと価格で提供してくれる存在です。

ドングルDACの中では作りと音のバランスが取れており、初めてのUSB DACとしても、サブ機としても成立します。

今の環境を大きく変えずに、確かな変化を感じたい人にとって、HC4は検討する価値があります。

  • この記事を書いた人

momon

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