「3万円のイヤホンを買ったのに、1000円イヤホンとの違いが分からない…」
そう感じるのは、耳が悪いからではありません。
多くの人は、「楽曲が発する音の周波数帯に、どんな音が配置されているか」を知らないだけです。
本ガイドでは、プロが実際の現場で使っている音質評価の手順・周波数理解・テスト曲・評価基準を、初心者でも再現できる形で体系化しました。
さらに、以下も一括で解説。
- ワイヤレス(TWS)向け設定
- 音量マッチング(プロの鉄則)
- F特性(周波数特性)グラフの読み方
- 用途別(FPS・ASMR・DTM)評価
この記事だけで、あなたの耳は「コア層と同じ判断基準」を持てるようになります。
1. 音質テストでは何を評価するのか|プロ基準の6項目
音質の良し悪しは主観的な印象で語られがちですが、以下の6指標に分解すると客観的に評価する事が出来ます。
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| ① 低音(20〜250Hz) | 量感・アタックの強さ・沈み込み |
| ② 中音(250Hz〜2kHz) | ボーカルの明瞭度・距離感 |
| ③ 高音(2kHz〜20kHz) | 金物音・歯擦音・余韻の伸び |
| ④ 分離感 | 楽器ごとの独立性 |
| ⑤ 定位 | 音の位置(左右/前後/上下) |
| ⑥ 音場 | 空間の広さ・残響表現 |
※各項目の専門的な解説は、クラスター記事で深掘りできるよう内部リンク化するとSEO的にも強くなります。
2. テスト前に必ず整えるべき「音質を決める環境」
高級イヤホンを買っても、設定や接続が悪いと1,000円の音に劣化します。
テスト前の環境づくりは、プロほど慎重です。
【最重要】音量(ボリューム)は必ず揃える
プロが絶対にやること。それは「AとBの音量を厳密に一致させる」ことです。
人間の脳は不思議なもので、音が大きい=良い音と錯覚します(ラウドネス効果)。
▶ 対策
- スマホの目盛りではなく「聴感」で合わせる
- 一度「聞き慣れてから」微調整する
- 可能なら外付けDACで0.5dB単位に調整
これをしないと、比較は成立しません。
2-1. 音源|YouTubeはNG。ロスレスが必須
| 音源 | 品質 | 適性 | メモ |
|---|---|---|---|
| YouTube | 圧縮 | × | 高域が削れる |
| Spotify | 圧縮 | △ | テスト可能だが精度不足 |
| Apple Music / Amazon Music HD | ロスレス | ◎ | 最適 |
| ハイレゾ音源 | 最高 | ◎ | 比較テストに最高 |
2-2. イヤーピースの「完全フィット」が絶対条件
フィットしていないと、以下のようにすべての評価が狂います。
- 低音ゼロ
- 音場が狭い
- ボーカルが遠い
→ イヤーピース比較ガイドへ
2-3. 有線派|DACの有無で「別物」の音になる
- スマホ直挿し:丸い音、分離が弱い
- DAC使用:分離・定位・情報量が向上
→ DACの効果まとめ
2-ex. ワイヤレス(TWS)派に必須の設定
TWSユーザーは以下の確認が必須です。
● コーデック
- iPhone → AAC固定
- Android → LDAC/aptX Adaptive に手動で切り替え
● EQ(イコライザー)をオフ
多くのTWSはイコライザーの設定を以下のように変更すると、音を大きく変えます。
- Bass Boost
- Clear Vocal
テスト時は必ずEQオフかフラットにする。
最初から好みが決まっている場合は固定したイコライザーのままで大丈夫です。
● ノイキャン/外音取込
オン/オフで音が変わる機種があるため、テストは以下に統一してください。
- 普段使うモード
- もしくはノイキャンOFF
3. 周波数帯域の完全ガイド(図解とセットで理解が爆速に)
音質理解の核心は、「周波数(Hz)=音の住所」を理解することです。

▼ 周波数解説(図解とセット)
● 20〜60Hz|サブベース
体で感じる帯域。沈み込みの深さを見る。
● 60〜250Hz|ミッドベース
量感とパンチ力。キックの厚みもここ。
● 250〜2kHz|中音(メロディ帯)
ボーカルの芯・楽器の輪郭。最も重要。
● 2〜6kHz|プレゼンス(明瞭度)
抜けの良さ・歯擦音・クリア感。
● 6〜20kHz|エアー(空気感)
シンバルの伸び・余韻・空間の空気。
→ 詳細:周波数帯域完全ガイド
4. よく使う音質用語のまとめ
- ドンシャリ:低音と高音が強調された派手な音。
- カマボコ:中音が太く、低高音控えめ。人の声が近い。
- フラット:全帯域が均一。制作者の意図を忠実に再現。
- 音場:音の広がり。ライブ感を司る指標。
- 定位:音の位置(左右・前後・高さ)。
- マスキング:強い音が弱い音を隠す現象。
- 歯擦音:サ行のシャリつき。
→ 詳細:音質用語辞典
5. 音質テストに使えるテスト曲|秒数まで指定
音域や音場ごとに「何を聴くべきか」を明確にまとめています。
■ 低音
Billie Eilish – bad guy
【0:28〜0:40】
- 沈み込み
- ボワつきの有無
■ 分離
Pink Floyd – Time
【0:00〜1:00】
時計音が混ざらず独立して聴こえるか
■ 定位
Eagles – Hotel California (Live)
【0:00〜0:52】
右奥・左前・中央奥の立体配置
■ 高音
Michael Jackson – Billie Jean
【0:20〜0:35】
* シンバルの伸び
* 金物が割れないか
■ 音場
Hans Zimmer – Time
【1:00〜2:30】
- 空間の広がり
- 残響の伸び
6. 評価チェックシート
【低音】
□ 深く沈む
□ ボワつかない
□ アタック明瞭
【中音】
□ ボーカルが自然な距離
□ こもりなし
【高音】
□ 刺さらない
□ 金物が自然
□ 余韻が伸びる
【分離】
□ 楽器が混ざらない
【定位】
□ 左右
□ 前後
□ 高さが分かる
【音場】
□ 広がり
□ 自然な残響
7. 用途別|最適なテスト観点
用途によって「聴くべき帯域」が違います。
■ FPS
足音の定位→ FPS向けイヤホンの選び方
■ ASMR
近接距離のリアリティ→ ASMRイヤホン
■ DTM
原音忠実性、分離・定位の精度→ DTM用モニターイヤホン
8. F特性(周波数特性)グラフの見方|プロの視点
最近は音の「グラフ文化」が一般化しつつあります。
FRグラフは「音の傾向」を読む地図
- 山 → 強い帯域
- 谷 → 弱い帯域
- 3〜6kHzの盛り → 明瞭度UP
- 200Hz付近の盛り → こもりやすい
ただし「グラフ=音そのもの」ではない
同じFRでも、ドライバーの質・ハウジング構造で聴感は大きく変わることがポイントです。
9. FAQ
Q. YouTubeで音質テストできる?
A. 高域や低域が削れるため推奨しません。
Q. ワイヤレスと有線、どっちが良い?
A. 音質は有線が有利ですが、最新のハイエンドモデルTWSならLDACやaptX Adaptiveであれば十分高音質と言えます。
Q. エージングは必要?
A. DDは変化が大きめ。最低2〜3時間は鳴らしてから評価すると音が変わります。
10. 深掘り関連記事
- 周波数帯域完全ガイド
- イヤーピース比較
- 音質用語辞典
- FPS向け音質テスト
- ASMR向けイヤホン
- DTM用モニターイヤホン
- DACの効果