
OpenAIの「Projects(プロジェクト)」機能は、会話を整理する便利な方法として登場しましたが、これまでは限られた用途にとどまっていました。
しかし今週の大幅なアップグレードにより、「Projects」は単なるフォルダではなく、ChatGPTの能力を活用する専用空間へと進化しました。
以前は関連するチャットやファイルを1つのボックスにまとめる役割でしたが、今後はChatGPTがその関連性を記憶し、プロジェクト内での過去の会話やファイルを参照しながら対話を続けられるようになります。
例えば、プロジェクト内で新たな会話を始めた際、AIは以前の会話内容やユーザーの書き方、語調、フォーマットまで覚えていて、それを踏まえて応答してくれます。
プロジェクトにノートをアップロードし、ChatGPTと話し合い、数日後に戻ってきても、最初から説明し直す必要はありません。
また、話題が別のチャットと混同されることも避けられます。
さらに、今回からは「Deep Research」機能が利用可能になり、複雑な調査や複数ステップのタスクも、ファイルや指示とウェブ上の情報を組み合わせて処理できます。
モバイルアプリからのファイルアップロードも可能となり、GPT-4oなどのモデルを切り替えることも簡単です。
音声モードもプロジェクト内で使用可能になりました。
マイクボタンを押して話すだけで、ファイルやトピックについての会話を始められます。
その他にも細かい改善があります。特定の会話だけを他人と共有したい場合、そのチャットだけを送ることができるようになりました。
通常のチャットをドラッグしてプロジェクト化したり、サイドバーからすぐにプロジェクトに変換することも可能です。
現時点では、この新機能はChatGPT PlusまたはProの利用者に限定されていますが、これまでの傾向を考えると、将来的には無料ユーザーにも開放される可能性が高いでしょう。
まだNotionやTrelloのような本格的な業務ツールを置き換えるには至っておらず、カレンダーなどの基本機能は未対応です。
それでも、個人利用や小規模なタスクにとっては、AIアシスタントとしての使い勝手が格段に向上しています。
OpenAIは単なるチャットボットではなく、仕事や生活のあらゆる場面で頼れる存在を目指しています。
これらのアップグレードは、その大きな構想の第一歩といえるでしょう。将来的には「10個のアプリを使い分ける代わりに、ChatGPTに話しかけるだけで済む」世界が来るかもしれません。
実際に使ってみたところ、全体的に効率は向上しました。
ただし、過去の会話を自動で引用する際、古い内容が優先されるなど、挙動に若干のクセがあります。
キーワード検索もまだ洗練されておらず、目的の情報を探すには多少スクロールが必要です。
それでも、Projectsが「自己整理するAI空間」へと進化したことは確かです。
調査、データ分析、イベント企画まで、ChatGPTをより使いやすく、整理されたツールとして活用できるようになりました。