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Boseのノイズキャンセリングヘッドホンは長い間この分野を支配してきました。しかし、近年SONYの1000Xシリーズ発売に伴い激しい競争に直面しています。
同時期に発売されたSONY WH-1000XM3はBoseのQuietComfort35 IIヘッドフォンのノイズキャンセルを上回り、多くの人々がSONYのオーディオ品質を称賛しました。
しかし、BoseはNoise Cancelling Headphones 700という独自の新しいヘッドフォンを持って市場に戻ってきました。値段は安くはありませんが、Boseは効果的で調整可能なノイズキャンセル機能、更に優れた音声通話品質、そして待望のUSB Type-Cへの移行で、価格のコストを正当化することにしました。
NCH 700に問題がないわけではありません。Boseは後で説明するいくつかの苛立たしい部分がありますが、多くの点はこれまで以上に良くなっています。
長年使用している感想を踏まえてこの商品のレビューをしていきます。
誰向けの製品か?Noise Cancelling Headphones 700を買うべき人
- 「旅行者」 - 飛行機や電車の音を遮断したい場合、素晴らしいANC(アクティブノイズキャンセリング)が効果的です。
- 「勉強や作業する人」 - 商品は高価ですがANCは一流です。喫茶店や図書館の騒々しい人にうんざりしているならばこれを買うのが最良の対処方法です。
- 「最高のものが欲しい人」 - こう言った人はSONY WH-1000XM4を購入しても間違いはありません。両方購入したとしても、あなたが素晴らしいANCヘッドフォンのペアを手に入れたという事実は間違いありません。
この製品は防水仕様ではありません。ボーズ・コミュニティ・フォーラムの投稿によると、ヘッドフォンの定格はIPX4相当だそうです。小雨や大雨に見舞われても大丈夫ですが、雨天利用の判断はご自身に任せます。
Bose Noise Cancelling Headphones 700
愛用できる外観のデザイン
端的に表現すると、このヘッドホンは使っていて楽しいです。
いくつか問題点もありますが、Bose Noise Cancelling headphones 700の使用感は全体的に素晴らしいもので、同価格帯で見れば軽いく、使いやすく、作りもしっかりしていて、客観的に見てデザインが素晴らしいです。
デザインの方向性は「クリーン」の一言に尽きます。ヒンジやネジが見えないことで、QC35 IIや競合他社の産業的なデザインと比較して、よりモダンな印象を与えています。SONYのWH-1000XM4も比較的新しい製品ですが、これを手にするまではデザインの古さを感じなかったので、デザインが与える印象というのは不思議なものです。
ステンレススチール製のヘッドバンドが基盤となっており、イヤーカップの中央を貫くように円筒形に縮小されています。イヤーカップを上下にスライドさせてフィット感を調整します。この動きはクリック感のないスムーズなものです。私は頭が大きいのですが、装着感はとても簡単です。ヘッドホンを装着して、左右のイヤーカップを目一杯引っ張るだけです。人によっては他のヘッドホンのようなカチッとしたスライダー式の方が好みかもしれません。
洗練されたデザインである反面、折り畳み用のヒンジがないため、安全に運用する場合は付属のハードシェルケースを使用してください。
ヘッドホンには3つのボタンがあります。そのうち2つのボタンにはアイコンやラベルがありません。
右のイヤーカップにある電源/Bluetoothペアリングボタンには、小さなBluetoothロゴが付いているので、電源を入れるときに他の2つのボタンと見分けがつきますが、誤ったボタンを押しやすいです。再生ボタンはありません。
SONYのWH-1000XM4と同様、右イヤーカップにタッチセンサー式のジェスチャーパッドが搭載されています。
バッテリー寿命
バッテリーの寿命に関しては、Boseは優れており控えめな表現をしています。SONY WH-XB900Nのような製品は、バッテリーテストで35時間以上の連続再生が出来ると公表していますが、私はこの数値には懐疑的です。
Boseは連続再生時間を20時間しかないと主張していますが、これはかなり正確な値であり、実験した所、約21時間25分の連続再生が出来ることがわかりました。(これをテストするにあたり、ヘッドホンの音量を75dBの一定の出力に設定し、ヘッドホンを乾燥させた状態でテストを行っています。)
ANCを最大にした状態でのテストなので、ANCを下げればもう少し連続使用時間を絞れるかもしれません。アプリでは予め設定した時間が経過すると自動的にヘッドホンの電源が切れるようにタイマーを設定することもできます。この機能を利用すれば、長時間使用しても充電器に戻す機会が減るはずです。
オーディオの品質
Bose Noise Cancelling Headphones 700は、高品質なストリーミング・コーデックを搭載していませんが、とても良い音を出します。
前衛機のBose QC35 IIよりも、やや低音に重点が置かれているにもかかわらず、周波数特性グラフのピンク色の線からわかるように、110 Hzから1 kHz未満の音域では、より均等に強調されていることがわかります。
この設計によりベースラインがボーカルを追い越すのではなく、後ろからソフトに鳴り響くようになっています。中音域のボーカルは低音域によって埋もれてしまうことなく、素晴らしいサウンドになります。高域もうまく処理されており決して決して粗くならないのがわかります。
参考:SoundGuys
オーディオ再生の品質はQC35 IIよりも表現が少し豊かに感じられます。Boseはこれまで、頭の中で鳴り響くような低音ではなく、様々なタイプの音楽に対応できるクリーンでバランスのとれたフラットな低音を好んで設計してきました。
この価格帯のノイズキャンセリング機能を搭載していないヘッドホンに比べれば、音域の広さや細やかさではやや劣るものの、ボーカルと楽器の分離感は十分にあり、音場には夢中になれる深さがあります。
NCH 700のチューニングはいかにもBoseらしく、暖かさはありませんが、洗練されていて、鮮明で生き生きとしています。現時点でEQを調整する機能はありませんが、ボーズは将来的にこのオプションを追加する予定だと発表しています。
ノイズキャンセリング
ノイズキャンセリング機能に関しては申し分ありません。Boseは外部からのノイズをより効果的にキャンセルするためにヘッドホンのマイクを再設計し、その効果は一級品です。
このヘッドフォンでANCを最大限に活用するには、最新のバージョンが必要になるためソフトウェアのアップデートには常に注意してください。最新版にアップデートすることで、ノイズキャンセリング・ヘッドフォンのトップ3の座を確保しています。(ただし、定期的にファームウェア更新に伴う機能の悪化が見られ、都度バグ修正されています)
また「同価格帯であるSONYのWH-1000XM4と比べてどうか?」という質問は非常に難しく、60〜2,000Hzの中低周波数だけのノイズの減衰を見るとWH-1000XM4の方が優れていますが、人間が認識出来るか微妙なところです。
コーデックについて
接続強度も良好で、Bluetooth 5.0を搭載しているので、デバイスとの接続がしっかりしていることに驚きはありませんでした。しかし、aptXには対応していません。
コーデックを簡単に説明すると、2台のBluetooth機器がより効率的にデータを共有するためのものです。Bose Noise Cancelling Headphones 700は、すべてのBluetooth機器がデフォルトで採用しているSBCコーデックのほかに、AACにしか対応していません。
AACコーデックも悪くはありませんが、テストの結果、AndroidデバイスではiOSデバイスほどうまく再生できませんでした。とは言え正直、超人的な耳のトレーニングでもしていない限り、問題を感じることはないでしょう。
この製品は、左のイヤーカップの底部にある入力端子を使ってハードワイヤリングすることもできますが、ケーブル経が標準の3.5mmではなく2.5mmの入力になっているので、付属のケーブルをなくさないようにしてください。
専用のアプリについて
Boseのスマートフォンアプリについても同様に良いのですが、これはNCH 700をコントロールするための重要なコントローラーです。しかし今のところ、このアプリはちょっとした混乱状態にあります。
まず、Boseのアカウントを作成しないと使用できず、アプリのスプラッシュ画面を超えることが出来ません。
Boseがヘッドフォンをコントロールするために顧客にアカウント作成を強要する理由はほぼないはずです。数万円のヘッドフォンで、Bose Musicアプリを使用するにあたりログインを要求し、ログインなし先に進める選択肢がないのは、やや悪い印象を残します。
この会社は以前にもデータ収集で物議をかもしたことがあるので、「ログインなしでヘッドフォンだけを使わせてください」という選択肢がないことには違和感を覚えました。
まとめ
「Bose Noise Cancelling Headphones 700」は明らかに魅力的な製品です。
特に新しいデザインは見事で、これに比べると他の製品が古臭く感じられます。Bose QC35 IIの装着感やANCは気に入っていましたが、深追いするほど好きではなかったので、誰かにオススメを聞かれたら取り敢えずSONYのノイズキャンセリング製品を勧めていました。
Bose Noise Cancelling Headphones 700のおかげで考えは変わりました。緻密にコントロールされたノイズキャンセリング機能、デバイス間のシームレスな切り替え、USB Type-C充電、タッチセンサー付きコントロールパッドなど、すべての面で製品がアップグレードされています。ついでに音も良くなりました。
Boseに必要とされてきた抜本的なスペックとデザインのアップグレードが行われており、今後もNCH 700は私の頭から離れません、ヘッドフォンだけに。
良い点
- 優れたノイズキャンセル機能
- ヘッドフォンで体験できる最高の音声通話
- 2つのデバイスに同時に接続可能
悪い点
- QC 35 II(QuietComfort 35 wireless headphones II)ほど軽く快適では無い
- BoseMusicアプリは切実に修正が必要
- 誤ってボタンを押しやすい